第1718話:リズ・ユレーディ~無断工事~
「おや、道路工事ですか。そんなお知らせあったかな……」
「いやぁ、なにぶん緊急なもので」
「ふぅん、緊急ってと、何か事故でもあったんです?」
「ああ、昨夜ちょっとな、爆発事故があって……道路に大穴が開いてしまってるんだ。だから、ここはしばらく通行禁止ってことになってる」
「へぇ、なるほどですね。それで緊急に工事ですか」
「ああ、そうだ。そうなんだよ」
「しかし妙ですね……」
「何がだい?」
「昨夜、僕はこの辺りを通ったんですけど、爆発事故なんてなかったんですよ」
「静かに爆発したんですよ、そういう爆発物だって存在するんで」
「道路が破壊されてるのに?」
「ええ、そういうものもあります」
「ふぅん……」
この緊急の道路工事だという男、どうにも怪しいのである。
そもそも、昨夜に爆発がどうこうとかいう話だったが今日の早朝にに通ったときはそんなことになっていなかったはずだ。
つまり何らかを隠すため、誰も通さないようにするために工事を装っているだけに違いない。
その何かを暴くかとも考えたが、正直のところ無音の爆弾で道路が爆発したというようなことを言う奴らが何を隠しているのかに興味がない。
顔だけ覚えておいて後日何か見かけたときにわかるかもしれないとして今日のところは遠回りだけすることにしよう。
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