第1697話:コルベ・ルキルグ~三つ数えて~
「本当に困ったときは三つ数えな、そうしたら……」
そう言い付けられたのはいつのことだっただろうか。
今まで少し困ったことは何度もあるが、本当に困ったことというのがないまま今まで来てしまったために、三つ数えたことがない。
だから、三つ数えたらどうなるかということを完全に忘れてしまった。
三つ数えたら、どうなってしまうのだろう?
困ったときに数えるのだから、問題が解決するのだろうが、数を数えただけで問題は解決するものだっただろうか。
普通に考えれば、三つ数えることで何か願いをかなえる魔神のような存在が現れて問題を解決してくれると考えるのが自然。
だけど、そんな魔神を呼び出すような呪文にも思えない。
試してみようとも思うが、今も別に困っていないし、本当に困ったときに何かを代償にして解決するようなものだった場合にさらに困ることになってしまいそうだ。
さすがにこの三つ数えてに起因する困りごとを三つ数えてどうにかできるとも思えない。
何か困ったことは起きないだろうか……
大抵の問題はほとんど落ち着いて考えて行動すればどうにかなってしまうから、本当に困ることが全くないんだよな……
そうだ、落ち着いて考えれば三つ数える話の続きが思い出せるかもしれない。
なんだったか……思い出そう……
深呼吸をして息を整える。
落ち着いて、三つ数える話の続きを思い出そうとする。
そうだ、思い出した。
「本当に困ったときは三つ数えな、そうしたら落ち着いてきて大した問題じゃなくなっているはずだから」だった……
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