第1662話:フレディ・ルーツカ~怪我療養~

「いやぁ、しくじっちまったな」

「本当に、どうするんですか? その腕、腱をざっくりやっちゃって治っても動くとは限らないんですよね?」

「ああ、まぁ引退かな……手が動かないんじゃあ、武器も握れない。命があっただけでもラッキーだったってもんだよ。命がけでやってる仕事なんだからよ」

「……なんか達観してますね」

「まぁ、そういうもんだよ。以前も引退は似たような形だったからな。あの時は膝だったが」

「そんなのに慣れないでくださいよもう。それで、どうするんですか? 退院したら何するんです?」

「そうだなぁ、利き腕が動かなくてもできる仕事となると、だいぶ限られてくるしなぁ。まぁ福利厚生に頼って生きていくっていう手もあるが……」

「それはちょっと情けないので、ちゃんと働いてほしいですが」

「しかしなぁ……」

「リハビリを頑張って日常生活ぐらいはできるようになってくださいよ。そうしたら仕事もあるでしょう」

「まぁそうだな、リハビリも頑張るか……。おっと、医者の先生だ。どうです、退院はいつごろになりそうで?」

「だいたい来週ぐらいには完治する予定かな」

「来週! それはだいぶ早い話で、リハビリはどれぐらいかかりますかね」

「リハビリ? そんなものはいらないよ。これくらいの傷、ここの医療なら完璧に元通りにできるさ。現役復帰も余裕だよ」

「え」「え?」

「最悪でも機械義手を付ければどうとでもなる話だからね。心配はしなくてもいい、これからも安心して大けがしてきたまえ」

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