第1645話:フィーヴル・マルクーセ~人の間に生きぬ者~
「討伐依頼、ヴィールヴァンバッド? ヴィールヴァンバッドってなんだ?」
「知らないのならその依頼は受けない方がいい、知らないならヴィールヴァンバッドが何かを知らない方がいい」
「え、そんなやばいやつなのか?」
「仕事としての割はよくないかもね、だらか他の依頼を選びなさい」
そう言われて、気にはなりつつも別の依頼を請けた。
無事依頼は達成して帰ってきたものの、ヴィールヴァンバッドというものが気になる。
受付の人は知らない方がいいと言っていたが、どうしても気になるので調べてみた。
情報自体はすぐに出てきて、野山に生息する人型の魔物を指すらしいことがわかったが、何を知らない方がいいのかはよくわからないままだった。
後日再び依頼を探していると、ヴィールヴァンバッドの討伐依頼は受諾済みになっていた。
「誰か請けたんですか? これ」
「ヴィールヴァンバッド専門に活動してる人もいてね、そういう人が請けていったんだよ」
「へぇ」
割に合わない依頼だって聞いてたけど、専門に請けていく人がいるなんて、変だな。
「ヴィールヴァンバッド、何が割に合わない依頼なのか教えてもらってもいいですか」
「本当に聞きたいですか? それ。聞けば間違いなく後悔することになるのですけど……」
「興味があるだけだ。それを聞いて割に合わないと思ったら請けないし、聞いていい仕事だと思えば請ける、それだけだ」
「興味だけで聞くのはお勧めしないんですが…… まぁ興味を持たせるようなことを言ってしまったのは私ですからね、いいでしょう。ヴィールヴァンバッドというのは人の間で生きることを拒んだ人間です」
「人間? 町や国に属さずに森で暮らす人々を討伐しているというのか?」
調べたときは人型の魔物と出てきたが、人型ではなく、人だったのか。
「ただそういう人間社会に属さずに暮らしている人ならば討伐の依頼が出ることはないですが、危険な存在だと認識されるとヴィールヴァンバッドとして討伐の依頼が出るんです。人を殺すことに忌避感がある人もいるので、そう呼ばれているというわけです」
「なるほど……確かにそれは割に合わないし、聞かない方が良かったかもしれない……」
しかし相手が人間であるならば怪物の相手をするよりもマシなのでは?とも思ってしまう。
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