第1616話:イチミ・リスクル~ミケシさん~

「さて、噂になっている都市伝説を始末しに行くよ」

「こういうのって大抵フィクションだと怪物化した都市伝説の主と戦うことになると思うんだけど、勝てるの?」

「んー、バトルになりそうなやつの対応をすることになりそうなときは専門の戦士を雇うよ。今から行くのは多分バトルにはならないようなやつ。そんで変質していたとしても予想の範囲内に収まりそうなやつだね」

「それなら安心だ」

「まぁ、予想外のことなんていくらでも起きうるから、用心はしておいてね。命にはかかわらないとは思うけどね」

「それは命にかかわることになるやつでは?」

「大丈夫大丈夫、今から始末しに行く都市伝説はっていうんだけど、害のないやつだから。ちょっと奇妙で、何とも言えない気持ちになるぐらい」

「具体的には?」

「夜道で後ろを付いてきて、歩調を合わせてくるの。振り替えると遠くも近くもない距離を保ってるんだけど、逃げようとして走るとすぐ真後ろを走られてるみたいな足音が聞こえてきて、その状態で振り返ると消えてしまうっていう都市伝説。だからミケシ追い抜きさん。名前は諸説あるけど」

「消えちゃうのに追い抜きなんですか?」

「振り向いたときに反対側から追い抜かれてるってことなんでしょ、これはとりあえず怪我とかしないし、実際に現れたら遠くから片方が見て看破すれば退治もどうにかなるでしょう」

「確かに危なくはなさそうな……」

「もし変異してたら追い抜き際に刺されたりするかも」

「さすがにそれは元と離れすぎなような……でも気を付けてくださいよ?」

「何言ってるの。囮はあんたよ?」

「え」

「看破して対処するのは私の役目なんだから、見失うことが確定している追われる役はできないの。まぁ危なくなりそうならすぐ助けるから。頑張ってね」

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