第1615話:キイグチ・ミソロ~都市伝説~

「都市伝説?」

「そう、最近いくつかの都市伝説をこちらで聞くようになってさ。少し気になっているんだ」

「都市伝説なんてどこの世界でも生まれるものでしょ、ほらこの世界でもテロン街だっけ? 入ったら二度と出られないっていう街とかあるじゃん」

「それは都市伝説とは少し違うと思うけど……、私が気になったのは、昔居たところで聞いたことのある都市伝説をこっちで聞くようになったってのが、少し」

「……確かにそれはちょっと妙ね」

「そうなんだよね、同様の話って程度ならそういうこともあるかもねで済むんだけど、細かい固有の名詞が一致して特徴も似てるとなると、同じものでしょ?」

「確かにそう。なんだろ、そういう怪異みたいなのも死ぬのかな、やっぱり」

「そうなのかも。それでこっちに来たとしたら、同じ話が広まっても不思議じゃない」

「それで、どうするの? 別に都市伝説が広まってるだけなら特に気にすることもないんじゃない?」

「そうとも言ってらんないんだよねぇ、ただの噂みたいな怪異だとしても死んだってことは生きてるってことなんだから、本当に有るってことでしょ。対抗策とかがあるやつはちゃんとそっちも流布したり、現況を始末なり封印できる奴なら対応しないと。私はそういうのの研究者をしてたから他の人よりも詳しいし。一応何度か実態のあった都市伝説を解決したりもしたんだよ」

「へぇ、そうなんだ。それで、どうするの?」

「とりあえず、今流れてる都市伝説集めからかなぁ、世界や環境が変わったことで何かしらの変質をしているかもしれないし。環境が変わると結構簡単に都市伝説って変質するんだよね。大抵は変質しにくい環境を設定してある奴が多いんだけどね。孤立してる田舎の村とか、代々伝わる古い蔵から出てくるとか。そういうのは環境を保管して伝わってるから変質しづらいんだよ。ただ、さすがに世界を渡るとなると予測もつかない変質をしてる気がするんだよなぁ」

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