第1591話:クルア・コールト~嘘翻訳~

「*****!」

「はぁ?」

 突然とんでもなく下品な言葉づかいで話しかけられた。

 見ない顔だ、この町に住む人の顔つきではない。

 旅行者だろうか? 一応この町の言葉で話しかけてきたようだが……

「あー、すみません。言葉わかります?」

 私はこの町でずっと暮らすつもりだったから、共通語を覚えてない。

「***** *****!」

 また下品な言葉を……

 しかし、文脈が全く一致していない……これはまさか……

 誰かに嘘語彙で下品語彙を吹き込まれているやつ……!

 きっと普通に挨拶としてこういう発言をしているに違いない。

 しかし、この下品語彙外人と私はまともに会話することができるのだろうか。


「*****! *****!」

「うんうん、そうだね!」

「*****……」

「そっか……」

 すごい、この下品語彙しかない外人、下品語彙が尽きないしなんかすごい雰囲気で話せる。

 案外言葉が通じないのはコミュニケーションの妨げにならないんだなぁと思うとともに、この人に嘘下品語彙を仕込んだ人がすごい。

 どんだけ会話しても下品語彙が尽きない。

 え、その言い回しがそんな下品語彙に!?ってなるような言い回しまでしてくる。

 この一時間ぐらいのやり取りで私の下品語彙まで増えた気がする。

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