第1586話:テ・エリーヴ~役割~

「旅人さん、よくないときに来てしまったね。今はあまりにもタイミングが良くない」

 旅の途中で飯がうまいという話を聞いて、訪れた国で言われた第一声がそれだった。

「それはどういう意味で?」と理由を聞いても、誰も答えてはくれなかった。

 もしかしたら言えない事情があるのかもしれない。

 まぁ、ここに来て不利益があるのならそのうちわかるだろう。

 帰った方がいいなら、帰った方がいいって言うだろうし。

 とりあえず宿を取って、噂になっていた店へ向かう。

 街の様子におかしなところはない。

 挙げるなら、道行く人々がみな妙な表情をしてるような気がする。

 どういうことだろう。

「――を一つ」

 目的の店に到着したので、噂の料理を頼む。

 少し待つとすぐに料理は出てきて、おかしなところはなさそうに見える。

「いただきます」届いた料理を食べると妙な味がした。

「んん……? なんだこれ」

 うまいと評判だったはずなのだが……

 全体的に料理の作りが雑…… レシピ通りには作られているが、細かいところが抜けているという感じ。

 元々のシェフじゃない人が作ってるのか……?

 もしかして、今はよくないというのはこういうことか……?

 この町にいったい何が起きてるんだ……?

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