第1550話:ジレ・フォンジ~検品作業~
「じゃあこの基準に満たない物を除去していってね、と言ってもあっちで全自動で排除してるから、こっちに来るのはごくまれなんだけど、たまーにあるから、適当に気を抜かない程度に気を抜いて見ててね」
と言うことでつまりは見ている必要もない、仕事という形式だけがある仕事だ。
しばらくここで流れていく製品を確認しているだけで少ないながらもただ生活するなら少し程度のいいぐらいの給金が出る。
仕事はしなくても生活には困らないが、まぁ暇つぶしして、報酬も出るという美味い話なわけだ。
「しかし、暇つぶしに来たが、これはこれで暇だな……」
コンベアの上を流れてくるのはすでに検品済みで99.9999999%の品質保証がされているものだ。
そんなラインで目視での品質チェックをしても意味がない。
無いことはないだろうが、寝ていても問題はないようなものだ。
与えられた椅子に座ってコンベアの上を流れてくる商品を見ていると眠くなってくるし寝てしまおうか。
「なんだ……?」
本当に寝ているとブザーが鳴って起こされた。
終業か? と思ったが、まだ時間には早い。
もしかして、見逃した不良品があって、それが下流で問題を起こした?
ブザーの原因を確認するために備え付けのモニターを見ると、真っ赤になって不良品数が100個などと表示されている。
「寝ている間に何が……?」
コンベアを見てみると、先ほどまで規則正しく並んでいたアイテムがバラバラになっていた。
「もしかして、寝相が悪かったか……?」
寝ている間に散らかしてしまったのだろうか、寝てても問題ないような仕事ではあったが、これで給金は出るのか、それよりも損害賠償を請求されてしまったりしないだろうか。
そんなことを不安に思っていたが、特に何も言われず、給金も通常通り出た。
逆に怖くなるな……
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