第1527話:ジロ・フレイテ~暗記力~
「私は暗記力に自信があるんですよ」
「暗記力? 記憶力ではなくて?」
「いえ、私は記憶力には自信がなく、暗記力にしか自信がないのです」
「?????」
「そうですね、例えば今この文章を見て覚えて暗唱しろと言われたら可能です、10年後も、50年後も」
「すごいですね」
「しかし、明日になればなぜ暗記しているかも覚えていないのです」
「記憶力がない……!」
「そうなんですよねぇ、自分の名前とかの個人情報とかは暗記しているから忘れないんですけど、たまに暗記することを忘れたこととかはほとんど忘れちゃうんだよねぇ」
「それ、生活ままならないのでは?」
「意外となんとかなってはいるんですよ。どうやって成立させてるのかはよく覚えてはいないんですけど」
「よく生活できていますね……、そのうまくいった生活の方法を暗記するというわけにはいかないんですか?」
「それも考えたことが何度もあると思うんですけど、それをするとその記憶したルーチンが完全に忘れられなくなってしまって、生活のことなので再生数が多くなっちゃうんですよね。かなり大変なことになりそうで、できてないんですよ。これを考えた他の時のことを覚えてないんで、違う結末になってやってない可能性もあるんですけど」
「難儀ですね……」
「でしょう」
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