第1516話:テリア・シピラ~継承~

「このまま後世に技術を残せないのは問題だ」

「そうはいってもこの世界で誰に技術を継承すればいいんだ?」

「そりゃあ……希望する奴だろう」

「いないよ、そんなやつ。この世界で必要とされる技術じゃないんだから」

「どこの世界なら必要とされる技術なんだよ」

「そりゃあ前の世界さ」

「じゃあそっちの世界で後を継いだ奴がいずれこっちに来るから別にこっちで後継探しとかしなくていいんじゃないか?」

「向こうで継承できればの話なんだよな……」

「もしかして?」

「この技術を持っている最後の存在が俺だった」

「なるほどな、それもう詰んでるって言うんだよ。万が一の確率だけど、向こうでそれを必要としたやつが再び編み出して、継承され始めるのを待つ他あるまいよ」

「そうなるまでに何年かかるんだろうなぁ、万が一があるとは思えないからこっちで継承していこうとしてるんだろう」

「それ意味あるかなぁ?」

「この技術を失伝させるわけには……」

「そうは言ってもこの世界では必要ない技術だからな~、失伝させるわけにはいけない理由がないし、その義務感を出すのが遅すぎたってことだもんなぁ」

「向こうで実はまだ技法の伝授に至っていなかった弟子が「あ、僕見てたんで再現できますよ」とか言って再現してくれないかなぁ~! 無理だよなぁ~! そんなお手軽技法じゃなかったもんなぁ! 先代とかカッコつけて秘伝とかにしないでほしかったなぁ!」


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