第1482話:ヘッチ・リンディ~みたて~
「これは人間です」
「木偶人形に見えるが……、動くような物でもなさそうだし」
「いわゆる見立てというものです。ただの木偶だとしても人として扱えばいずれ人としてふるまうようになるという実験です」
「なるほど……?」
「なので、全員に共有すべく周知してください」
「わかった、一度人を集めて君から紹介してくれ。私はまだその人を知らなさすぎる」
「それはいい」
「というわけで、彼女はフラシトという。皆、仲良くしてくれたまえ」
紹介も無事終わり、みんなざわざわとしていたが、何とか受け入れてくれたらしい。
「まぁ新しい人を受け入れるのは時間がかかるものだ、時間が解決するだろう」
元よリ長期的な作戦だ、いずれ受け入れてもらえるだろう。
「おはようフラシト」「おはよう」「今日も元気か」「夜の番おつかれ」
数日経ってみな自然に声をかけている。
私が紹介したときには私も知らなかったが、夜の番をしているということになっているようだ。
心配なかったかもしれないな。
「ヘッチさん! 聞いてくださいよ!」
「どうした?」
「フラシトがですね!」
「フラシトがどうかしたのか!?」
「フラシトがサグルテッチとお付き合いしてるって本当ですか!?」
「なんだって!? 誰がそんなことを!?」
「フラシトが言っていたんです」
「フラシトが……?」
フラシトがしゃべるわけがないが……?
「フラシトの元に案内してくれ」
もしかして本当に人間になったのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます