第1462話:フェルブス・オリュンガ~不具合修正~

「ここら辺、まずいんじゃないのか。不具合が出ている」

「確かに、直さねば、直さねば」

 やけに背の高い、全身を布で覆った二人組が何やら話ながら歩いていた。

 不具合だの直さなけばだのを足を止めて何かを見ながらしていたが、結局その場では何もすることなく去っていった。

 なんだろうかと思って見ていると何らかの作業員であろう格好をした顔の見えない人が複数人来て、そのあたりを封鎖して何か作業を始めた。

 その人たちはわりとすぐに作業を終えて去っていった。


 後日

「あ、あの人たち……」

 通りで先日見た二人組を見かけた、正面から歩いてくる。

 先日はただ話が聞こえてしまっただけで変な人達だなと思ってしまったが、よくよく考えてみるとあんまり怪しい人たちではなかったかもしれない。

 会話の内容も、特にあの場所を指してのことではなく手元で触ってた何かについての話をしていたのかもしれないし、ちょうど作業者が来たのはただの偶然だと思う。

 ただ、同じ場所で重なった気になることを勝手に頭の中で結び付けてしまっているだけだろう。

 そういうことはよくあることだからな。

 そんなことを考えながらすれ違う時に「こないだのことは誰にも言っちゃあだめだよ」と聞こえたのもきっと気のせいなのだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る