第1453話:ハイプ・クロシウス~爆発粉塵~

「なんだその袋」

 いかにも厳重注意という表示がされた袋が置いてあったので気になって聞いてみた。

「ああ、触るなよ。危険物だからな」

「それは見ればわかるんだけどさ、具体的にどういう物なんだ?」

「爆発粉塵さ」

「爆発粉塵? 粉塵爆発なら聞いたことがあるが、現象名だろ? ものとして存在するものじゃあ……」

「だから爆発粉塵だよ、爆発を粉にしたものさ」

「爆発を、粉に?」

「深く考えなくてもいい。うちでもよく扱っているだろ? 概念物質ってやつだよ」

「まぁ概念物質は知ってるけどさ、なんでそんな明らかに危険ですみたいな爆発の粉末がそんなところに袋に入っておいてあるんだよ」

「もらったんだよ、扱いさえ気を付ければ便利なものだしな」

「その扱いが問題なんじゃないか……、倉庫を爆発させるんじゃないぞ?」

「大丈夫だって、爆発の粉とは言ってもこれ自体が火薬って言うわけじゃないんだから」

「練り込んだものがその概念を持つようになるんだったっけ……?」

「そうそう、粘土にでも練り込んで使えば即席の爆弾になる」

「練り込まない限りは安全なんだ」

「そういうこと」

「じゃあこんな場所に置いておいてもいいのか?」

「どういうこと?」

「こんな湿気の溜まってる場所に置いてあったらすぐに固まって固形爆弾になるんじゃないか? 水気に爆発が付与されるぞ」

「まさかそんな……、事故がちょくちょくあるらしいな……?」

 手元で調べて青ざめている。

「そーっと、そーっとだ、触らないように空間隔絶ができる箱持ってこい、俺はこの部屋を封鎖して待ってるから」

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