第1445話:ヒプリセ・ホウデード~珍味~

「これ、食べるのか……?」

「ああ、もちろんさ」

 出されたのは皿一杯に乗った紫の粘液にまみれた肉のような物。

「なんの肉なんだ……?これ」

「ムラサキヘフベムの肉さ」

 く、聞いてもわからねぇ。名前にムラサキって入ってるからこの粘液はきっと肉から染み出しているんだろう……

 そう考えると嫌だな……ムラサキの汁が染み出してくるような肉を食べたくない……

「ちょっと、味見をしてもらってもいいか?」

「何を言ってる、作った時に味見ぐらいしているさ。もちろん最高に美味かったよ」

「そうか……」

 これは食べたくないとは言えないぞ。

 彼の味覚に不安はないが、見た目に関しての感想は無理、食べられないという感じにしかならない。

 どうにもゲテモノという趣だ。

 ええいままよと口に放り込むとやはり味は美味い。

 というか、これは……

「ベリーソースだ」

 この肉から染み出していた体液の類ではなかった。

「なんでこんなムラサキのソースをかけたんだ、紛らわしい」

「何が紛らわしいというのだ、ムラサキヘフベムのイメージにぴったりだろう? 肉の味にもあっているはずだ」

「確かにそうだが……」

 味わいながらも見た目さえどうにかなればなぁ……と考える。

 しかしうまい……

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