第1429話:セリトル・ファイパス~最終兵器~

「先輩、これなんですか?」

 店の棚によくわからない商品が置いてあったので先輩に尋ねる。

「それは最終兵器だな」

「えぇ!? 最終兵器がなんでこんなただの雑貨屋で取り扱われてるんですか!?」

 なんなのかはよくわからないが、物騒な響きだ……

「そりゃあ、売れるからだろう。最終兵器需要は結構あるんだ」

「えぇ……武器屋とかでならわかりますけどうちの主力商品はインテリア雑貨ですよ……?」

 絶対に最終兵器を必要とする層と違うでしょと思うんだけど……

「そうだなぁ、不思議と人気あるんだよ。最初は商品としてじゃなく店長が店内装備として導入したわけなんだけど、それを見たお客さんが欲しいって言うから、商品として仕入れることにしたんだよ。売れ行きもなかなかいいしね」

 そんなことある……?

 ていうかそもそもインテリア雑貨店に最終兵器を導入するのってどういうことなの……

 それは店長の趣味ってことでいいだろうけど、それを見て買おうと思うお客さんもお客さんだよ……

「あっ、これもしかして見た目だけそれらしくした非稼働品とかなんですか?」

「いや、実用品だよ。インテリア目的での購入でも家に最終兵器があると安心だろう?」

「その感覚はちょっとわからないんですが……ちゃんとお客さんに説明とかしてます?」

「してるしてる、ちゃんと家庭での最終兵器保管マニュアルも渡しているし、同意書にもサインしてもらってるさ」

「それならいいですけど……気づいたら武器屋になってたりしないですよね?」

「それはどうだろうなぁ、そこらへんは店長の趣味としか言えないし」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る