第1350話:シンセ・フィマ~記念日~
「今日は記念日!」
「何の記念日なの?」
「え、覚えてないの? あんなに大事な記念日なのに?」
何か記念日だというので何の記念日なのか聞いたところ、僕にも関係がある日らしい。
「えぇ……この時期になんかあったかなぁ」
心当たりがない。
まったくない、嘘でもない。
「ヒント、ヒントをくれ!」
「ヒントぉ?」
「そう、ヒントさえあればわかると思う、何かと勘違いしているだけかもしれないし」
さすがにノーヒントでわかれというのは無理がある。
というか、僕と彼女が出会ってまだ一年も経っていないというのに、何か共通の記念日なんてあるものだろうか。
いや、無い。
きっと誰か別の人と勘違いをしているんだ。
「その日に君がこれをくれました」
「それは……」
やっぱり勘違いだった、これを去年のこの日にあげた記憶は僕には無い。
「今日が何日か言ってみて」
「えー? 春季の8日だけど?」
「これを受け取ったのは?」
「秋季の17日」
「全然違う日じゃないか! なんで今日が記念日なんだ?」
「そりゃあイスリア暦でちょうど一年だからよ」
「僕は知らない暦の数え方だ……」
道理でピンとこないわけだ。
「出会って一年目だって言いたかったんだね。あの時のハンカチをずっと取っておいてくれたことはうれしいけど、わかるように言ってくれると助かるな」
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