第1333話:チカバ・ユア~停電~

「あれ?」

 パチパチとスイッチを切り替えても明かりが点かない。

 停電かな?

 停電っぽいなぁ、他の電化製品も点かない。

 この世界でもこんなことがあるんだな、復旧するかどうかの問い合わせをどこにすればいいかもわからないや。

 とりあえずたぶん時間が経てば復旧するだろう。

 しかし、部屋が暗いな……

 明りになる何かあったかな……ろうそくなんてずいぶん久しく見てないからたぶん無い。

 ある光源は携帯端末デバイスのモニターの明かりぐらい、これでは本も読めやしない。


「あ、そうだ」

 逆転の発想だ、今のこの暗い時にぐらいしかできない遊びをすればいいんだ。

 でも必要なものがある、買いに行こう。

 ろうそくも必要だから買ってこよう、買ってこればよかったんだ。


 というわけで買ってきた、友人も誘ってきた。

「怖い話大会します!」

「いきなりこんな暗い部屋に集めて何するかと思えば」

「怖い話ってどういう話ですか? 生前個性のない人たちに追われた話とか?」

「そういうのじゃないと思うけど、暗いのと合わせるとより怖い話がいいのよね」

「そうそう、みんないくつかは持ってるでしょ、ここなら前の世界で定番だった奴でも新鮮だし」

「そうだね、じゃあろうそくに火を……」

 いくつかろうそくを立てようとしたところで明るくなった。

「明り点いたけど、どうする?」

「うーん、これじゃあ雰囲気でないし、一緒に買ってきたおかしパーティしようか」

「賛成! じゃあ暗くなくなったしさっき没になった話の続きするね?」

「現実的なこわい話はやめてほしいんだけど」

 なんだかんだで明るい中お菓子を食べながら怖い話だったり怖くない話だったり普通にドン引きするような話をした。

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