第1308話:シギシ・カツギ~無重力~
「ここいらは少し特殊でな、所謂無重力ってやつなんだ」
「そういうことは早く言ってほしかったなぁ~、どうするんだよ。もう地面から離れちまって、手掛かり足掛かり何にもないんだが?」
このエリアに踏み込んだ瞬間、予想以上に体が浮き上がってそのまま地上を離れてしまった。
「手を伸ばしても届かない、バタついたところでなんにも効かずにふわふわと浮いて降りれる気配がない。これもしかして詰んだんじゃないか?」
「まぁ、あわてんな。無重力エリアは結構狭い。そこまでふわふわ移動すれば重力にひかれて落ちるよ。それまで寝てればいい」
「悠長だなぁ、確かに何かできるわけでもないか……、もう寝てるし」
仕方ない、俺も寝るか。
「ううん、結構寝心地いいな無重力。ぐっすり寝てしまったけどまだふわふわしてるのか?」
まだフワフワしていた、一緒にフワフワしていたもう一人の姿はない。
寝ている間にはぐれたか……、それとも先に抜け出していったか……?
「どっちでもいいか、さて今はどのへんで……ああ?」
気付けば地面は遥か下、考えてみればそれもそうか。
最初に一歩強く踏み込んで体が浮いたんだ、そのまま斜め上に浮かび続ければどんどん高所に浮かんでいくか。
問題は……
「この高さからじゃあ、重力が戻って落下したとして、無事じゃ済まねぇってことなんだよなぁ……」
比重が重くて急所になりそうな頭や上半身だけ無重力エリアに突っ込んで置けば比較的安全に着地できるか……?
できるかは別として。
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