第1285話:スグラシ・ハビナ~明日の話~

「明日どうする?」

 明日? 明日ってなんだ。

「明日は明日だろ、何言ってんだ? ボケたか?」

 そうかもしれない、だけど明日ってものが何かわからないんだ。

「本当に大丈夫か? 病院に行った方がいいんじゃないか? 明日ってのは今日が終わった、次の日のことだよ」

 今日の次?

「まぁ、わからなくてもいいさ。明日になれば明日はわかるんだから」

 そうなのか。

「そうだ、明日は病院に行ってこいよ、今のお前は間違いなくおかしいからさ」

 そうだな、そうすることにしよう。君は優しいな。

「いやいや、友達だからな。普通に明日がわからないなんて言ったら心配するよ。他はわかるか? 明日以外にわからないことはないか?」

 わからないこと……、わからないことがわからない。

「ああ、そっか。まぁその辺も全部明日だな」

 ああ、明日だ。

「ああ、明日」


 箱を閉じて布団に入る。

 明日、そう明日がこれば彼は病院へ行けた。

 それは彼にとってはもう来ない明日で、僕にとってはもう来てほしくない明日だった。

 その無念を箱にしまって、僕は寝る前に明日なんてもう来ないでくれと想いながら、眠りにつく。

 ああ、明日なんて来なくてもいいのに、なぜ明日は来てしまうのだろう。

 明日になったら、病院へ行こう。

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