第1266話:ジャガジャガ・オルトアル~ゆで卵~
鍋に水を入れて火にかける。
卵をいくつか入れて少し待つ、その間にスライスしてサラダに乗せるとかいう段取りを頭の中で組み立てる。
さてそろそろゆであがっただろうというところでお湯から上げ、火傷しないように卵を手に取って違和感を抱く。
「あれ、これもしかして……」
割ってみて嫌な予感が的中したことを知る。
中からは黄色い毛が生えそろったゆであがったヒヨコが出てきた。
けっしてバロットとかそういう料理ではない。
ヒヨコになりかけの卵ではなく、ヒヨコである。
「鶏の卵って言うから無精卵かと思って買ってきたのに……」
まさか鶏の転生卵の方だったとは……
「どうしたものか」
茹でヒヨコを食べるような食指向はしてないしゆで卵を入れようとしていたサラダも茹でヒヨコの勢いでなんだかそういう気分でもなくなってしまった。
というか食欲が一気に失せた。
茹でヒヨコはなぁ……、命に失礼だから食べるべきだという意見が頭の中にあるがこれ食べなきゃいけないかなぁ……
せめて茹でる前に気づいていれば、そうだったらどうだったということはないが、ヒヨコでなく鶏まで成長させれば肉を食べる気にもなれた。
しかしヒヨコはなぁ……
よし、悩んでいても仕方ない、何事も挑戦だ、食べてみよう。
とりあえず殻から出した状態で追加で茹でて毛をむしる。
腹を裂いて内臓を取り出して、捨てようとしたところで一度止まる。
まだ内臓は空だし、捨てる必要はないかととりあえず分けて置いておく。
頭は外して、骨を丁寧に取ったら細かい肉の塊になった。
「こうなったら普通においしそうだなぁ……」
あんなに悩んでいたのにこうなってしまったら何の躊躇もないなとサラダに入れて食べた。
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