第1265話:アガロ・カッパー~ロングロングアゴ―~
「遠い昔の話をしよう」
「内緒の話が聞きたいかい」という怪しい誘い文句に誘われて入った個室語り屋。
「まだこの世界に人間がいなかった頃の話だ」
「ちょっと待ってください、そんな時代があるんですか?」
「そりゃああるさ、まぁ過去の大断絶よりも前の話で記録もほとんどのこっちゃあいない。こうして口伝で一部の情報が伝わっているぐらいの話さ」
「人間がいなかった時代のことを誰が……?」
「大断絶の前の歴史学者が調べたことが今まで伝わっているのさ、話の出だしから潰すんじゃないよ」
「はい」
「まぁいい、まだこの世界に人がいなかった頃の話、この世界に一つの卵が現れた、存じの通り転生卵なんだけれど、これが厄介な代物だった。
世界によっては神話の怪物、世界の悪意の具現、リセット機構、そんな名前で呼ばれるそれの卵がある日突然現れたんだ」
「どこかの世界で役目を終えたものですか?」
「そうだろうね、世界を終わらせて役目を終えてこの世界に来た。それが元居た世界でそれに滅ぼされこの世界に来ていた神々は焦った「ああ、またこの世界でもアレに滅ぼされるのか」と」
「ちょっと待った」
「いいところなんだ、邪魔をするんじゃないよ」
「神々はいたのか?」
「ああ、神々はいた」
「人はいなかったとさっき言ったろう?」
「人はいなかったが神々はいた」
「神々もこの世界では広義の人だと思うが……」
「神々は神々、人ではない。次話の腰折ったら帰ってもらうよ」
「いや、話の続きは気になるから続けてくれ」
「なんなんだ……」
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