第1245話:ニキワ-ハツカイ~~
この手を握る、その手の温かみを感じながら薄れる意識で考える。
もう一度人生があればこんな生き方はしない、絶対に最後に手を握ってくれる人にこんな悲しい顔をさせるような生き方は……
「起きた?」
目を覚ますと目の前に同居している少女が顔を覗き込んでいた。
「ああ、起きた。起きたけど、夢を見ていた気がする」
「すごい寝言言ってたよ」
夢の中だけじゃなくて口から出てたか……
聞かれて困る類の夢じゃなかったとは思うが寝言を聞かれるのはなんとなく恥ずかしい。
「変なこと言ってなかったか?」
「さぁ? ちゃんと聞き取れはしなかったから、さっさと起きて。生き方を改めるんでしょ」
ばっちり聞かれている……恥ずかし……
「しっかり聞いてるじゃないか……」
「それで、手を握っていたのって誰なの?」
「忘れた」
どうせ夢で見たことだ、すぐに忘れてしまうし、もう忘れたことにしてしまおう。
「えぇ~、昔のことを思い出してたんじゃないの~」
「いいや、そんなことはないさ。もう起きるから、そこをどいて」
「話すまでどかない」
「聞いても面白い話じゃないさ、本当に夢の話なんだから」
まるで死に際の一幕とかの夢を見のかと思われてるけど、割とマジで何の過去にも沿わない夢なんだよな……
雪山で風呂に入ってて手を掴んでるのは見知らぬ人だし、顔はなんで悲しそうに見えたのかわからないような、何とも言い難い顔だったし……
そんな話を正直に話しても信じてもらえ無さそうだから、どうやってごまかそうか……
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