第1168話:ヒエロ・フルガメ~迷い迷って~
「ここどこだろ?」
道に迷って知っている場所へ、いや場所は知っているのだけどここがどこで、どうやったら目的の場所へ帰ることができるかがわからない。
恥を忍んで行ってしまえばよく迷ってここにたどり着くのだ。
「ねぇ、ここがどこか知らないよね?」
「知らん、あんまり迷いない足取りで案内してくれるものだから、自信があるのかと思った」
「迷ってるとは思ってなかったの、ここに来てようやく迷ったことに気づくんだよ」
「迷ったことがここでわかるなら、ここからの帰り道もわかるんじゃないのか?」
「え? わからないよ?」
「ここにたどり着けば帰れるとかそういう場所じゃないのか?」
「別に、ここは迷わないとこれないから迷ってるってわかるだけだし、ここに来た後もずっと迷ってようやく帰れるぐらいの場所なの」
「神隠しの類じゃないのかそれ……」
街の中なのは間違いないんだけどなぁ、迷ってる自覚もないのに迷うって言うのはそういうことなのかな。
「まぁ普通に迷ってるだけだとして、普通に地図を出せば簡単に帰れるだろ」
「私地図読めないから」
「地図は読めなくてもナビぐらい使えるようになれよ……、まぁ俺が出すよ」と呆れたように
「ん、これは……」
「どうしたの?」
「地図によるとどこでもないらしい、やっぱりこれ神隠しだぞ」
「これで私が方向音痴で迷ったわけじゃないことが証明されたね! 地図もどうにもならないみたいだし、適当にウロウロしよっか」
「まぁ、急ぐわけでもないしな……、ここにはどれぐらいの頻度で来るんだ?」
「2~3日に一回ぐらいかな」
「結構な頻度じゃないか」
「まぁ、あんまり害はないしって、あ!?」
「どうした」
「ずっとまた来たいって思ってたのに来れなかったお店がある!」
「神隠しの最中にたどり着く店か、なかなかいい店が多いと聞くな」
「ここに前来た時は迷ってた時じゃないから、もう神隠しの場所は出たと思うよ?」
「迷ってない時に来た店に二度たどり着けなかったってことは普通に迷うってことじゃねぇか」
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