第1161話:ジュボーブ・フテリフェス~電脳化~
「肉体を捨てて電脳化して暮らしたい」
「とは」
「肉体って不便だ、そう思ったことはないかね。精神をデータ化して電脳生命体として変化することで、肉体の煩わしさから脱してデザインして作った完全な世界で暮らすことこそ理想ではないかね?」
「あの、それで以前完全に自身をシミュレートできるハードが無いことで失敗してこの世界に落とされたと以前言っていませんでしたか?」
「それはそう、しかしだね。この世界には想像を絶する技術があるだろう? それこそ、電脳化していた世界の人類だっている」
「確かに」
「それはつまり、電脳化が可能であるという証左に他ならない」
「そうですね」
「すでに協力者はいる、ハードも用意した、検証も重ねた、あと実行に移すだけだ」
「いつの間に」
「君が寝ている合間にね。実行するときには君も当然連れて行くとも、そのために君にこの話をしたんだから」
「ありがとうございます」
「ああ、なかなかに長かったよ。君と出会ってから、もう30年程か」
「あなたが前の世界で志したときからではないですか?」
「いや、君と出会ってからだよ。それまでの私は言ってはいたが、どこか本気ではなかったのだと思う」
「実験で命を失ったのにですか?」
「まぁ、それも本気ではなかったからね、本気でやっていれば念入りな準備の上で成功していただろうさ」
「そういうものですか」
「そういうものだよ」
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