第1160話:フェービン・オルトゥス~声が出ない~

 喉に鈍い痛み、風邪かな……?

「…………」

 ダメだ、声が出ない。

 どうしたものか、ボイスチャットで打ち合わせの予定があるのだけど、テキストチャットに切り替えるか……?


 とりあえず支障なければテキストチャットでの打ち合わせに変更したい旨の連絡を入れたので、病院。

 受付で状態を説明しようにも声が出ない、とりあえずメモに書いて説明。

 診察に入れば医者の先生が言うこと聞いて指示に従いながら肯定否定の動作だけで話が進むのでやりやすい。

 さすがにこういうことに関してはプロか。


 とりあえず診察の結果飲み薬を処方してもらった、今すぐに治るというものではないらしく、明日まではかかるらしい。

 買い物でもして帰るか、とカウンターに差し掛かった時声が出ずどうしたものかと上を見る。

 声が出ないなんて今までになかったからどうやって声が出ないことを伝えればいいんだ……

「あ、もしかして声が出ないのですか?」

 お店の人が察してくれて、それに対して首肯で応えようとしたが、ジェスチャーだけでのやり取りは生まれでの齟齬を生むと、経験上知っていた。

 彼の生まれで首肯が右斜め上を見ることとは限らない、もしかしたら否定の動作かもしれないのだ。

 そこで、彼が手でカウンターの上に置いてある肯定否定を文字で書いてあることに気づく。

 慌てて、肯定の方を示す。

 その後はスムーズだ、声が出ない人向けのチャートを用意してもらえてなんとかなった。

 声が出ないだけで結構困るものだと思っていたけど、意外となんとかする仕組みが整っているものだ。


 その夜、打ち合わせはなんとかこっちがテキスト、向こうがボイスという不思議な形式での打ち合わせをした。

 まぁ、意外となんとかなるものだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る