第1147話:チグティ・オエイト~コピー空間~

「ここに来るのも随分久しぶりだな……」

 何時から来てなかったのか忘れてしまうほど昔に来たこの場所は、あの時のままで何も変わっていなかった。

「記録したときのままか……」

 当たり前のことだけど、感慨深い。

「まさか今になってデータが出てくるとは思わなかった」

 記録したのは数回に渡る引っ越しの前、毎度毎度一番気に入っていた場所は丁寧にアーカイブして整理してあるのだが、初期に練習で記録した空間は最近までしまった場所を把握していなかった。

 しかし、データの粗が目立つ、物陰等勝手な補完で何が何だかわからない形になっている。

 それでもこの時代の自室にはまともなアーカイブは残っていないから、データの粗さも含めて懐かしさがある。

 細かい一つ一つの要素を確かめるように、確認していく。

 ベッドの下などわざわざ観測してもいなかったはずだと、覗き込むとそこには確かに空間がある。

「おや……、意外としっかりやろうとしていたのかな?」

 ベッドの下など丁寧にするぐらいなら卓上小物の裏とかもしっかりしてほしかったものだが……

 わざわざ作ってあるからには何か隠してるのではないかと手を突っ込んでみると、何かが指先に当たった。

 ベッドの下に隠してあるものとなると、何かした覚えはないが……アレかな?

 若いころの趣味は~と引っ張り出してみると黒い塊。

「なんだこれ……?」

 よく見ると表面に枠線が引かれていて、いくつかのマスには値の入力ができるようになっていた。

「なるほど、空間に残すがロックはかけておくと、昔の俺はよく考えたものだな……」

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