第1146話:テイキ・ファンバ~上位世界からの住人~

「それで、自分は間違いなく上位世界の住人だったと主張するんだな」

 昨日偶然に見かけたのは俺の青春時代をぶち壊しにした謎の少女、話をしようとカフェに入った。

 勝手に注文されたが俺が注文しようとしていたものが出てきた。

「もちろん、あの後君の世界がどうなったかだって知っている」

「そんなの俺だって知ってる、死んだ後のことは知らないが」

 当たり前だ、起きたことだったら誰でも知ってる。

「私はその後も知っているが正しいかどうかがわからないか」

「これから起きることを当てられたら信じてやってもいい」

 いや、これではあの時と同じか。

 いきなり現れたこいつは「世界の真実を知りたくない?」などと持ち掛けてきて、次々と近い未来を的中させて純粋だった俺を信じ込ませた、そうしてこいつの語る世界の真実とやらは俺を歪ませこいつは姿を消した。

 その後俺は人間不信になり、語るには長すぎるほど悲惨な人生を送ることになったんだ。

「それはできない」

「なぜだ?」

 意外だ、あの時のようにポンポンと「あれを見てみろ、こうなるぞ」「こんどはあっちだ、面白いことになる」と証明を始めるのかと思ったが。

「ここは私の管理する世界ではないからさ、君たちの世界は私が所有する箱の中だった。ここは箱の中も外もその上の箱も、別の箱も全部ひっくるめて存在する異常空間だからね、同じレイヤー上に私も君も存在しているんだよ。いやぁ、実に不思議だ」

「全然わからんが……」

 勝手に自分のわかる言葉でいちど話すのはあの時と同じか。

「私は君たちの世界の神だったけど、この世界の神ではない、簡単に言ってしまえばそういうことだよ」

「なるほど……?」

 やっぱり全然わからん……、上位世界の存在だからか、こいつだからか……

 なんで昔の俺はこんなのの言うことを信じてしまったのか。

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