第1130話:ケタイア・ブライオ~所属する~
「どうして君はこのクラブにいるんだい?」
「どうしてとは……?」
所属しているクラブの中で割と浮き気味の一人が話しかけてきた。
彼は単純に変な奴だ、常に一歩引いているというか、絶対に当事者にはならない奴。
よく見ていればわかるんだけど、何かあった時に何が起きているのかはわかっている風なのに口出ししない。
問題の解決は彼にとって重要ではなく、まるで一連の流れを観察することこそ自分の役割だという風に物事に対して当たる。
そんな彼から話しかけてくることは珍しい、というか今まで一度もなかったことだ。
「君はこのクラブのメインテーマである盤戯にも興味が無さそうだし、いつも会話に加わろうとせず一歩引いた位置から見ているだろう? しかも不機嫌そうな顔でね」
「……それで?」
「盤戯にも興味なく、かといってコミュニケーションに飢えているわけでもない。そんな君がこのクラブに所属し続ける理由は何だろうって思ってね」
踏み込んでくるじゃないか。
「別に、僕にとって居心地がいいのがここであるというだけだよ。それこそ君もなんだ、みんなに干渉せずに一歩引いて観察して、結果だけ見て満足そうにうなずいて、何がしたいのかわからない」
「へぇ、よく見てるね。君もなかなかの観察好きと見える」
「まぁ、少し離れてるからよく見えるだけだよ、結局質問の真意はなんだったんだ?」
「いや、僕もさっきのようなことを言われたんだよ……、あっちのメイングループの一人にさ。じゃあ他に同じ様にしてる君はどうなんだろうって思っただけ」
「なるほどね……」
まぁ、たぶん同族なんだろうけど僕も彼もつるむ気はなさそうだ。
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