第1121話:ジャン-ベイヤーⅤ~共通規格~

「そういえば、うちのロボって全部規格バラバラですよね」

「ん、まぁそうだな」

 最近開発部に入った奴が、内向けのカタログを見ながら相談に来た。

「規格統一した方がよくないですか?」

 真っ当な提案だ、開発部としてはそういうことも提言したくなるだろう。なんたってねじの規格ですら機体ごとにばらつきがある。

「うーん、まぁ俺はしてもいいと思っている。絶対にそっちの方が効率的なのは目に見えてるしな」

「じゃあ、」

「でもなぁ、実は難しい理由があるんだよ」

「理由ですか? 共通規格化してしまえば破損した機体をニコイチで直したり、武装に応じてアームを換装したり、多種多様の規格に合ったパ―ツを用意しておいて好みに合ったロボに乗って出撃できるですよ! 整備に関しても機体ごとにやり方を覚える必要はなくなるじゃないですか」

 ああ、こういうタイプか。

 機体改造が好きなタイプ、たぶん放っておくとヤベェ改造案とか提案してくる。

「メリットに関してはその通りだ、今だと機体ごとにハンガーまで一点ものを用意してる、これが統一されるだけで生産も早く軽くできるだろうな。俺だって考えたことぐらいあるさ」

「じゃあどうして」

「【ガガガイオン】も【テスラカリア】も【ユーティロウド】も、他の機体も全部、皆の思い入れが強い機体で変えるのが忍びないというのもあるが、動作原理からして異なる世界の技術を組んで作られているものだからなぁ、現状数少ない兄弟ロボット貸し出しサービスをしている身としては、この多種多様なベースを持つロボット群を共通規格にすることなんてできないと思ってる」

「それは思考停止じゃないですか」

「思考停止か。そこまで言うなら、今裏で企画されている量産機計画に君も参加するといい。ユニーク機はこれからも作られるが、先ほど君が言ったような量産組み換えが容易な機体群もそろそろあると便利だなと思っていたところでね。君は熱意がありそうだ、きっといい機体を作ってくれるだろう。うん、まかせたよ」

「それって……結局整備習得コストとかは増えるってことじゃないんですか……?」

 まぁ種類を増やしたらそうなるな。

 まぁ、いずれ量産機チームはノウハウを持って独立してくれるぐらいがちょうどいいだろう。

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