第1108話:ヨエイ・ソフキト~特定指定郵便物~
僕はヨエイ、配達人をしている。
物流のほとんどがトランスポーターやゲートを利用した長距離輸送技術で賄われているこの世界ではかなり特殊な仕事にはなるけども、大事な仕事だ。
僕がやっているのは手運びというサービス、トランスポーターで送れないものは結構多くて、ゲートで送れないものは意外なことに少しある。
僕の仕事はそういった品物だ。
「今日の荷物は……」
超精密加工済み磁器、空間のゆがみを利用した模様を作っているのでトランスポーターでは送れず、ゲートを通るとダメになるため手運びを必要とすると。
なるほどなるほど、相変わらずの厄介案件だなぁ。
発送元がイテチアで、届け先がポースポスか、結構遠いなぁ。
一季丸々使いそうな距離だ。
「はい確かにお預かりしました」
とりあえずゲートを通ってイテチアまで来て荷物を受け取った。
ここまでは楽だ、荷物を考慮することなく移動できるんだから。
用意しておいた車に載せてポースポスまでこれから向かう。
町と町の間の移動は基本的にゲートを使用するからか、整地されている道は多くない、舗装されている道ともなれば尚更だ。
あんまりスピードを出しすぎると事故る可能性もあるし、自分だけならどうとでもなるけど荷物の破損は絶対に避けなければならないから、ゆっくり安全走行で目的地を目指す。
「うーん、どうしても特殊環境区域を通る必要があるなぁ」
しかして、無限に時間がかけられるわけでもなし、できる限り品物に影響を与えない範囲での近道は必要になる。
「燃える地平と星降る丘、どっちを抜けていくのが安全か……、星は当たった衝撃で割れたら困るし、炎は熱で割れられたら事だな……」
車の耐熱コートを信じるか、装甲を信じるかといったところか。
「荷物お届けにきましたー」
なんやかんやとあった36日の行程を経てパースパスの届け先に到着した。
届け先にて荷物に不備が無いことを確認してもらってようやく僕の仕事は終わり。
帰りはゲートを使って帰る。
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