第1104話:イトロ・カイゾ~タコに金槌~
「海の魔物を討伐しに行こうって言うけどさ、あんた泳げたっけ?」
「……忘れてた」
普段と違う環境で戦ってみようとでかい頭足類の魔物を狩る依頼を受けてみたんだけど、肝心なことを忘れていた。
「どうするのよ、海の中にいる魔物を狩るのに泳げなかったらどうにもならないじゃない」
「そこはほら、船とか」
今回の討伐も船が出ると聞いている、僕ら以外にも複数のパーティが討伐に向かうらしいから海の魔物に慣れていなくても何とかなるかと高を括っていたわけなんだけど、やっぱり泳げないと致命的だろうか。
「確かにその魔物が出るところまでは船で行くし、たぶん主戦場も船の上で上がってくる奴を迎撃する形だとは思うけど、船から落ちたらそのまま溺れて死ぬんじゃない?」
「やっぱりそうなる?」
「そうなるんじゃないかなぁ、船にも慣れてないでしょ?」
川の渡し船程度しか乗ったことない。
「どうしよう」
「断ってきたら?」
「でもなぁ、でかいタコとはちょっと戦ってみたい」
興味はあるんだよな、まさに怪物!って感じするし?
「呆れた。出発は確か一週間後だっけ? あんまり時間ないけど泳ぎの練習でもする?」
「しないよりはマシかぁ」
一週間でどれだけ泳げるようになるかはわからないけど、船から落ちても死なないようになれるといいな。
当日まで泳ぎの特訓を毎日していたわけなんだけど
「結局泳げるようにはならなかった……」
「あんたがここまで泳げないとは思わなかったわ、まぁせいぜい船から落ちないように頑張りなさい」
船に乗り込んで、揺られること数時間。幸い船酔いはしなかったけども戦闘が始まってからは落ちることを警戒しすぎてあまりへりの方へ寄れず、満足には戦えなかった。
見ていた限りでは船から落ちた人はいなかったと思う。
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