第1091話:ケターラ・シッパ~何もしてないのに~
「何もしてないのに壊れた」
「何もしてないってことはないだろう」
「いや、本当に何もしてないのに壊れたんだよ。ログを見せてもいい、少なくとも俺の入力が原因ではない、内部で自動で行われる処理で壊れた」
「本当か?」
「ああ、本当だとも。地の重みぐらい本当だ」
「それの信用度はよくわからんけど、まぁそこまで言うならログを見てみよう」
「直せそうか?」
「まだ見てない、少し黙っててくれ」
「わかった、了解だ」
「……これは問題ない、これもだな。違う、これが怪しいと思ったけど、これも違うな……、……?これはなんだ、これか、これっぽいな」
「お、わかったか?」
「このアプリケーションに見覚えは?」
「うーん、わからん。いつの間にか入ったウイルスかなんかか?」
「いや、少し調べたけどこれはウイルスじゃないな。もう一度聞くが、本当に覚えがないか? 10年ぐらい前に流行ったアプリだと思うんだが……」
「10年前……、思い出せそうで思い出せないような」
「思い出せないならまぁいい。これはジョークアプリの一種で、他のアプリのエラー例を参照して、まるでエラーが出ているようにふるまう。実際は何も起きてないのに操作不能状態を再現したり、エラーメッセージを出したりな。当然本当はエラーは出ていないのでこのアプリを止めない限りは正規の復旧も役に立たん」
「はー、そんなのがあるんだな」
「これが、過去に設定された自動起動で昨日に起動してた、本当に覚えはないか? お前、流行りのアプリを碌に調べもせずに入れて遊んだりしてるだろ。壊れた原因の何かをしたのは、過去のお前だ」
「昔やったかもしれないけど覚えてないから何もしてないのと同じでは……?」
「それはない」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます