第1081話:スパッダ・ゾク~遺跡の鍵~
「この像、怪しいな……」
遺跡探索中、行き止まりの通路の隅に置かれた像。
観賞用にしては置いてある場所がおかしすぎるし、腕の数もやけに多い。
何かを持っている手もあるが、空の手もある。
さてはこれ、隠し扉を開けるためのしかけだな?
他の遺跡でも見たことがある、この遺跡のどこかに鍵となる物体があって、それを正しい位置に持っていくと扉が現れるという奴だ。
こういう回りくどい鍵の奴はいいものがしまってあると相場が決まっている。
ちょっと鍵を探してみるか。
手の数は六本、持っているものは弓、矢、花、バトンが二本、あとの一つが空いている。
弓と矢が対なのはわかる、バトンも左右に一本ずつ持っているからこれも対だろう。
つまり花と対になるものを探せばいいわけだが、何だろうか。
葉か、もしくは鉢か。
はたまた虫か、なるほど虫か、虫なら一時的に飛んでいくという形で手を空けているのもわかる。
鍵として使うならなかなか良い意匠のように思える。
とりあえず虫のオブジェを第一目標に、同時に花や葉、鉢も探してみよう。
虫のオブジェは全然見つからないが鉢や花のオブジェは結構見つかった。
しかしどれを手に持たせても全く反応がない。
やはり虫なんだろうな……、と考えたところで気付く。
そもそもこの遺跡の文化的な文脈を知らねばあの花につく虫がどんな姿をしているのかもわからない、もしかしたら虫だと認識できていないだけですでに見ているのかもしれない。
なるほど、侵入者に暴かれないための仕掛けとしては絶好のモチーフだったのか虫は。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます