第1049話:フェスク・リロート~ドラゴン~
「誰か助けてくれぇっー!」
森の中、走りながら助けを求める。
たまには散歩でもと、比較的町から近いところにある森へハイキングしにやってきたんだけど、この森にドラゴンがいるなんて聞いてない。
遭難の心配はしてきたけど、さすがにこんなのは想定してない、丸腰で戦える大きさではない。
何とかまだ走って逃げられているが、転んだりしたら終わる。
なんて考えてたら、地面に小さく突き出すように生えた石に躓いてバランスを崩す。
「あ……」
これは死んだな……
前に出した足が宙を掻いて、体すべてが地面から離れて浮かび、地面に叩きつけられると同時に、
後ろから大きな物が倒れる音が聞こえた。
「いてて……、あれ?」
死んでない、後ろから追ってきていた音も聞こえない。
恐る恐る振り返ってみると、ドラゴンは倒れていた。
「無事かい?」
茂みから、のっそりと銃を小脇に抱えた老人が現れた。
「いやぁ、ドラゴンなんて初めて見ましたよ。こんな森にもいるんですね」
助かったようで、お礼にと持参していたおやつを猟師さんにふるまいつつ、少し話をしている。
「ドラゴン? これはただのでかいトカゲだよ。ドラゴンがこんなちっぽけな銃の一撃でどうにかなるもんかい」
「え、これドラゴンじゃないんですか?」
「ドラゴンってのは……、そうだな……お、ああいうのをドラゴンって言うのさ」
そう言って、指した先の山には、そこに転がっているトカゲとは比べ物にならないほど、圧倒的な、巨大なソレが存在していた。
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