第1045話:カラチー・フターゴ~平らな世界~

 朝起きたら世界が平らになっていた。

「こういうの、よくわからんよなぁ」

 まぁ、たまにこういうことはある。

 理由も原理もまったくわからないけども、なっているものは仕方ない。

 今日は地形も建物も、どういう理屈でかはわからないけど平面になっていて、人だけが取り残されている状態だ。

 いや、空を見上げれば鳥は飛んでいる、鳥も残されているようだ。

「服も残ってるのよくわからないよなぁ」

 こういう環境変化の元凶的存在がいるとして、その何者かの配慮なのか。

 それともフィルタリング的に人の一部として判定されているのか。

「でも、パジャマなんだよなぁ」

 今まで寝てたし、タンスは平面。表層に見えているのは家の屋根だ。

 着替えが手元にあったとしても遮るものは何もない。

 さすがにそんな状態では着替えられない。

 辺りを見渡してみると、同じような状況になっている人が多数いて、まぁこれならあんまり恥ずかしくはないかな、なんて思ったりもするわけだ。

「おーい、カラチー」

「その声はテララ?」

 声はすれども姿が見えない。

 その声は足元から聞こえてくるようで、

「なんで平面になってるの……?」

「わからない……、体がタンパク質じゃないからかな……?」

「えぇ……」

 そういうことなの……?


 結局一晩経ったら全部戻ったけど、翌朝は屋根の上で起きた。

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