第1037話:ダラインド・ボウデマニ~統一言語~

「共通語ってさぁ、なんなの?」

 ふと、物が分からなくなることがある、それが今訪れて、それが共通語だった、そういう意図での発言。

「なんなの……って言っても今話してるそれだよ」

 たいていそういう発言は、正しい答えを求めての物ではないし、そもそも正しい答えというものすら定義することなく発せられるものだ。

「いやね? 言葉ってのは基本的にどっかで生まれるもんだと思うんだけど、共通語ってのはどこかの世界で使われてた言葉をそのまま持ってきてるのかね、と思ってさ」

 話題として拾われてしまったので、慌てて疑問としての体裁を整える。

「あー、そういう話な。そういえば、もともと共通語を話してましたって人は見なかったよな」

 二人で共通語を学びに行ってる時の話だな、そもそも共通語を話せる人は学びにはこないから、そこで観測できることなんてないと思うんだけど、観測できるならそこだろうと、記憶の中から何とか引っ張ってきたという感じがする、話題として持ってきたのは失敗だったかな、二人して思考の基になる知識が少なすぎる。

「調べた、どうやら言葉の種類としてはどこの世界の言葉にも属さない言語で、完全にこの世界固有で使われているらしい。どこから湧いて出たものなのかは不明だってよ」

 こういう話題は、無難な答えをさっさと調べて、終わらせるのがいい。

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