第1007話:ルーニード・モンス~温泉将棋~

「お前、どこから来たよ?」

 旅館の部屋で別のグループの奴らにボードゲームで挑んでいたら、こっちのグループでも向こうのグループでもないチビがいつの間にか紛れ込んでいた。

 こいつがどういうわけかめちゃくちゃ強い。

 どのゲームをやっても勝てん、まるでメイナムみたいだ。

「呼んだ、か?」

 にゅっと脇からメイナムが出てきた、心臓に悪い出方をするな。

「そうだ、お前ならこいつに勝てるんじゃないか?」

 メイナムのあの喫茶店での勝率は9割9分を超えていたはずだ、負けるとは思えねぇ。

「にゅーちゃれんじゃー、ですなー?」

 このやけに間延びするしゃべり方をする、やべーチビとメイナム、どういう勝負になるのか、とても気になる。


「ふっふっふ~」

 マジかよ……」

 結果はメイナムの負けだ。

 びっくりするぐらい一方的な敗北、なかなかない負け方だ。

「おいおい、どうしたメイナムよ。お前これで負けたことなかっただろよ」

「…………」

 珍しく無言で考え込んでいる。

 負けたことがそうも悔しかったようだ。

「あなたのこともー知っていますよー、メイナム=メーティカさんー、フォーレトルーンの店員でー、まるで考えをー読むようなー打ち筋がー有名ですなー」

「…………」

「実はー、私の頭の中はー機密が多くてですねー、様々な干渉をーはじくアイテムをー常に身に着けてるんですよー」

 つまり、なんだ? メイナムは頭の中を読むから思考を読まれないようにしたら勝てるって?

「なるほど、ね」

 つまり、普段の喫茶店での勝負でも頭が読まれていたわけで、でも俺はたまに勝てていた、頭を読まれても勝てた俺はもしかして、強いのか?

「お前は、何も考えて、ないだけだ」

「何をぉ?」

 頭の中が読めるってのは本当らしい。

「この部屋、僕の部屋なんですけど」

「楽しいからいいじゃん?」

 そんなことは知らん。

「よぉし、メイナム。敵は俺がとってやる」

「あなたはー、さっきからー負けてるじゃーないですかー」

「うるせぇ!」

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