第983話:ボルタ・イナン~外のない空間~

 起きた、時間は全くわからないので今を朝とする。

 ベッドから起き上がると周りは白い空間、何もないわけではなく、まだ何にもなってない白い塊が果てまでいくつも転がっている。

 いつもの風景を再確認するように頭の中で反芻する。

「いつも通りだなぁ」

 白い空間白い塊、いつの間にかできていた白い家具類。

 ここにきてどれだけの時間が経ったかはわからないけど、おなかもすかないし、寝たいだけ寝られるし、まぁどうでもいいでしょう。

 ここがなんなのか、来たばかりの頃は気になって、帰る方法も考えたりしていたけど、どうやら今この家具が置いてある場所を中心にどこまでも広がった空間らしくて、でも不思議と室内という印象がある。

 開いた空間ではなく、閉じた空間で、どうやら外へつながる扉は無いらしい。

 白い塊は転がりながら何かになろうとしているらしくて、日々景色は変わっていくんだけど、意味のあるものになった塊はまだ見ていない。

 たぶん、使っている家具とかが白い塊の成れの果てなんだけど、他にそうなったものは見当たらない。

 たぶん、私が必要としていないからだと思うんだけど、試すためになにかを求めるようなことも思いつかない。

「うーん、寝よ……」

 もう何も興味が無いし、ベッドに横たわって目を閉じる。

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