第929話:スンサモ・トリノン~お前仕事辞めろ~
「クビですか?」
「いや、俺にお前に辞表を叩きつける権限はないだろうよ、上司じゃあるまいに。そんな思考力もないのか仕事中のお前は」
「はい、そうですね。そうです」
「ダメだこりゃ、仕事終わったらでいいや。後でな」
「さっき、なんだった?」
「覚えてはいるのか、よかった。でも話は忘れたなお前?」
「まぁ、全然聞いてなかったから。仕事中はオートで処理してるみたいな感じだし」
「その割には受け答えしっかりしてたな、いや、後半は全然ダメだったか、接客以外の受け答えはダメなのか」
「そんな感じ。で、なんだった?」
「いやな、お前に仕事辞めろって言いに来たんだよ」
「なんで?」
「なんで? じゃあないだろうよ。なんで?じゃ。お前なぁ、家でこんだけのことやってるのに、なんであんな誰でもできる接客の仕事なんてしてるんだよ。しかも対応をあそこまで自動化してまでさ、時間勿体ないし、稼ぎも全然だろ? ただでさえこの開発で時間使って休む時間が無いってのに、他の、休憩や自分のこと以外で使ってる時間あるのかよ」
「んー、無いなぁ。いや、まあこっちは趣味だけし、あっちとこっちどっちを優先させるかで言えばこっちを優先したいんだけどさ」
「だけど?」
「こっちを十分に回すには金がかかるんだよな、仕事の時間はまぁ、体感的にはスキップできてるし、まぁいいかな?って」
「いいや、俺が良くない。俺があんまりよくないと思ってるからな? だからよ、俺が金を出すからお前は仕事辞めろって話だ」
「え、いやそれは悪いよ」
「いや、俺がそうしたいんだよ。今から退職手続きに行くぞ、ほれさっさと」
「わ、わかったよ。行く、行くから」
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