第921話:コウラギ・フーサ~生きてる証明~
「この世界にいる人は死んだわけでしょ?」
「そうだね」
「死んだ人が、この世界では生きているんだよね?」
「そうだね」
「でもさ、生き返ったってのとは少し違うわけじゃない」
「それは、そうだね」
「じゃあさ、この世界の人たちはもしかしたら死んでいるんじゃないのかい?」
「それは、どうなんだろうか」
「だって、死んで生き返ったわけでもないのに活動してるんでしょ? それは死んでいるのとどう違うんだろうってさ、思わない?」
「まぁ、否定はできないね。なんとなくみんな生きていると思っていたけど、みんな死んだまま活動しているという話も無くはない、かな」
「でしょ? なんていうのかな、生きてはない、死んでる活動だから生活じゃなくて死活?」
「それはどうでもいいけど、実際に死んでるかどうかはどうやって判断するわけ?」
「うーん、何かない? 結構みんな血色よかったり肌に錆浮いてたりしないし、死んでるって感じが無いんだよね……」
「たまに肌青白い人はいるけど」
「それはそういう人だから、生きてても肌青いから」
「そうね」
「あ、じゃああれはどう?」
「なに?」
「心臓が動いてるかどうか」
「心臓……、ちょっと私の胸に耳当ててみて」
「どれどれ? 動いてない……」
「私のところは心臓っていうものが無いから。同じような見た目してても結構違うものなのよ。あなたの心臓は動いている?」
「すごいドキドキ言ってる。生きてる」
「そうね、生きてるね」
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