第843話:フェーミィ・ユガ~DDoS攻撃~

「今日、通信不安定じゃないです? 珍しい」

 やってるゲームのサーバーへのアクセスがやけに失敗する。

「そうだなぁ、通信が不安定になるなんていつ振りか、前は……」

「割と最近あった気もしますけど」

 こないだも通信不安定のお詫びアイテムを配布していた気がする。

「いやぁ、あれは通信が不安定になったうちに入らないでしょ。頻繁に接続に失敗するようになってからが不安定本番だと思うよ」

「今まさにそうなってるんだけど、こういうのって何が原因なんです?」

「うーん、よっぽどのことがない限りこうはならないねぇ、今の通信環境は安定して高速だし」

「それでも不安定になるんだ」

「全体的には早くて安定していてもね、1サービスの構成がダメだとねぇ、こういうことが頻発するんだよね」

「なるほどねぇ、回線が悪くてもサービス側が……」

「そう、難しいんだよこの世界の通信網の真価を引き出すのはさ。運営の怠慢じゃないよ?」

「ふぅん。で、今回の不安定の原因は?」

「うーん、サーバー負荷の増大、ゴミデータの大量送信攻撃を受けてるっぽいねぇ?」

 彼は、対処法を考えながら答える。

「何か新しい方式の攻撃を試しがてらって感じかな? 送信元の増殖速度が速すぎるような、もう数えるのに桁が16でも足りないね。お、また増えた。おや、もうこの端末では表示もできないや。じゃあ僕は事務所に戻るよ、君も戻ってきてくれよ?」

「あと3周したらね」

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