第828話:スーナ・ランカ~緑の夜~

「今夜は緑か……」

 日の火は落ち、天窓から覗く夜空はは深緑に。

 ここまで緑なのも季節が進んで寒くなってきたからか、もうそろそろ雪も降り始めそうだ。

「そろそろ冬季の備えを出しておくか」

 梯子を上って天窓を上げて地上へ出る。

「うーん、やっぱりだいぶ寒くなってるな」

 荒野の真ん中に一本立つ大きな木の中に作った、倉庫から雪除けの蓋を引っ張り出してきて、天窓の横に置く。

「そろそろ新しいのにするかね」

 いつから使っていただろうか、この重い思いをするのがざっと8回目か、いや数えてはいないから正確なところはわからないがなんとなく10回はしている気がする。

 だとすると5年前ぐらいから使っていることになる。

 何度も使うものではないが、これが弱くなっていると冬に最悪死にかねない。

「この冬を超えてからかな」

 去年は特に不具合なども無かったし、今年の一冬程度ならまぁ問題は無いだろう。


 天窓横に蓋を置き、窓から中へ入りこむ。

 深緑の空の色を見て、そういえばこれより冬が進むと他の空も色が深くなるのだろうかと想像するが、いつもこの先は見られていない。

 今年はあと二日ぐらい開けたままでいいかな?とも思ったが、いつ雪が降り始めるかもわからない。

 雪解けの次期だけは見誤らないようにしないとな、なんて誰に言うわけでもなく呟きながら蓋を閉めてはしごを降りた。

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