第786話:ペイガー=サムリグ~闇の力~
「闇が、闇が俺を見ているんだ」
「恐ろしい、俺は正しいことをしているはずなのに、闇が俺を引きずり込もうとしている」
「正しさは光のはずだ、そうだろう? 正しいもの。正しいことが光だって、そう、なはずなのに……」
「俺はどこで間違えた? 正しくなんてなかったのか? 間違ったことをしていたのならなぜ誰も止めてはくれなかった?」
「闇に落ちるのは嫌だ、俺は光の側であるはずだった」
「いつの間にか、こんなにも闇が近くに」
恐怖に怯える顔で語ってくれた彼は、最近過激派と呼ばれ始めた革命団体のリーダーだ。
確かに彼は正しいことをした、間違いだらけの組織に入ってしまった彼はその組織を是正するために立ち上がって声を上げた。
そしてそれに賛同するもの、反対するものの間で戦争が起きて、いつの間にか彼がその責によって変質しそうになっている。
その自身の変質感に敏い彼は気付き闇に飲まれそうだと表現しているのだろう。
「先生……、俺は、どうしたら良いのでしょうか、このまま、闇に飲まれてしまうのは嫌です……」
「まぁ落ち着きなさい。まずは落ち着いて、なぜこうなってしまったのかを振り返りましょう。そして、自身の正しさを再確認したうえで、自身の内に存在しない、行動に存在してしまった失敗、それを見直すのです。そうすれば、自分の本当にするべきだったことがわかるでしょう、それを踏まえた上で次の行動を起こすのですよ。そして闇は恐れることはありません、それこそが己の悪性であり、あなたはそれを見ることができています。一度考え直せば、きっと闇を力にすることができるでしょう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます