第772話:コウゾ・ゴルマキ~仮想の本質~
「この世界は偽物だろう?」
昨日言われた言葉がずっと頭に残り続けている。
場所は仮想世界、光を編んで作られた物理的には存在しない、データだけの世界。
一度死にこの世界でようやくたどり着いた私のいるべき世界、それがこの世界だ。
その世界で出会った1人の発言、それが「この世界は偽物だろう?」というものだ。
仮想世界は偽物、偽物、なんとか言い返そうと思ったけど、その時は言葉が出なかった。
確かにこの世界は人の手によって作られた作られた世界で、見て触れて感じている物全ては電気信号を脳に直接叩き込んであるように見せかけている幻想で、演算処理装置上での出来事でしかないのは間違いない。
-だけど、この世界が偽物だっていうのは違う気がする。
だってこの世界は電算機上の出来事だとしても、だいたいの生体の脳もタンパク質で形成された演算処理装置だったりするわけで、そういう点で言えば何も変わらないことではないだろうし。
……じゃあ現実ってなんだろう。
現実の体も演算装置の集合で仮想世界も演算装置の上で展開されている世界で。
そこに違いなんてないような気がする。
「じゃあどうでもいいじゃん」
現実と仮想の違いなんて、あってないようなものだし、そこにある物が本物だと信じるしかないのは同じだし。
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