第768話:アゴロ・サクマ~遠くに見える~
遠くに空からぶらさあるように建つ塔が見える。
蜃気楼っていうやつだな、水気とか光とかがうまいこと噛み合って、見える幻のようなものだと聞いたことがある。
だから実際にあそこにあんなものはなくて、近づいたら消えてしまう存在しない塔だ。
実際はあの位置ではないところに実在はするらしいが、ちゃんと地面から生えた塔のはずだ。
の、はずだが……。
なぜだろうか、おかしい気がする。
あの塔は近づけば近づくほど実在感を増していき、とても幻には見えない。
やっぱりあの塔、実在するんじゃないか?
あそこに実際に在るように見える
この世界なら空からぶら下がってる建物もありえるからもしかしたら実際にあそこにあるのかもしれない。
確かに実体があるように見える。
まったく揺らめいたりしていないし、何よりも影が落ちている。
実体のない幻覚なら影は落ちないしあの逆さ塔は実際にあそこに存在しているとみていいだろう。
よし。行ってみるか。
結構遠くに見えるけど、まぁこの距離ならすぐに着くだろう。
バイクを走らせて、塔もだいぶ大きく見えてきて、もうそろそろ着きそうだと思ったんだが……
見失った?
上を見ても何もなく、後ろを見たら逆さ塔が見えた。
いつの間にか通り過ぎていたようだ。
そんな感じで行ったり来たりを10回ぐらい繰り返したところでたどり着けないような魔術が掛けられていることに気付いた。
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