第726話:ヨサナ・オリアブ~図書館~

【全世の図書館】の奥はダンジョンになっていて、図書館の管理者であるドラゴンがいるらしい。

 そのドラゴンが音を食べているからこの図書館の中は無音であり、そのドラゴンが知識を集めているからこの図書館は訪れた人の記憶を読み、本を作り出している。

 そういう伝説だ、伝説だが、俺はそれを聞いてこの図書館の奥に来た。

 14階ともなると文字形態とかそういう以前に曖昧なものが多すぎて、翻訳を噛ませてもなんにもわからん。

 噂に聞けばこの辺を超えた辺りでの目撃情報が多い、カメレオンみたいな見た目という話が多いが、俺にはカメレオンが分からん……。


 調べたところ、色を変えて姿を隠すような動物らしい、この見通しの効かない迷路のような図書館で、しかも音が聞こえないから探す難度は高すぎる気がする。

 伝説のドラゴンだからなぁ、会うのが伝説級に難しい。


 15階層、もはや読める文字がなくなってきて本の形状を保っていないものも多い。

 そして不思議なことにこの辺の方が本が多い。

 それだけ記憶の曖昧な本が多いということだろうか。

 そういえば、ドラゴンは知識を集めて本にしているらしいけど、どうやって集めるんだろうか、記憶から抜かれたら覚えてた本の内容とかが消えたりするんだろうか。

「そんなことはしない」

「うぉ!」

「記憶をのぞき見して本にまとめているだけだよ」

 ドラゴンに話しかけられた。

 というか、声が出る。

「僕が記憶を食べるなんて人聞きが悪いんだよなぁ、誰から聞いたんだい?」

 これは死んだかもしれない。

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