第717話:ソルド・スニッド~宇宙人~

「宇宙人」

「そう、宇宙人だ」

「宇宙人ってーと、あの宇宙の方からやってくるっていう?」

「それ以外に宇宙人があるか?」

「ないけど、この世界に限って言えば絶対に宇宙人はいない」

「なぜだ?」

「この世界には宇宙は無いからだ」

「それは、まぁそうだろうけども、宇宙人だってこの世界に転生してくるだろう?」

「それはもう宇宙人じゃないだろ」

「なぜだ?」

「異世界から来た人と何にも変わらないからだ」

「それは……まぁそうだな……」

「それはあくまで同じ世界出身だけど文化風習が違うだけ、違う世界の人となんにも変わらないだろう?」

「確かに」

「むしろ異世界人から見たら物理法則が共通する分、近い種だと判断されるかもしれない」

「いや、それはおかしいだろ」

「なぜだ?」

「場合によっては宇宙人よりも異世界人の方が近い物理法則で生活している場合があるだろう、姿も宇宙人よりも異世界人の方が近いということもある」

「宇宙人よりも異世界人の方が近いか、興味深い話ではあるな?」

「うむ、異世界というものの成り立ちに関係するのかもしれん」

「まぁ待て、話がそれすぎている」

「はて、どういう話だったか?」

「宇宙人の存在の定義では?」

「宇宙人は宇宙にいる者のことでは?」

「この世界においてはその認識は通用しない、宇宙が存在しないのだからな」

「我々と世界を同じくして、母星を違える者という定義はどうだろう? これならば見つかるのでは?」

「確かに、それならば見つかるかもしれん」

「彼の世界と違い、この世界でならば地続きだ、きっと見つかるだろう」

「彼の世界に発見を報告できないことだけが残念でならないがな……」

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