第703話:フラクラス・スァンズ~異形頭集会~

 ある日不思議な招待状が届いて、指定日時にパーティ会場に行ってみると異形頭の集会だった。

 様々な人種のいるこの世界だが、こうも普通それ頭にならねぇだろみたいな突っ込みが入りそうな奴ばかりが見事にいる。

 しかし、なぜ俺が招待されたんだ?

 俺はどこにでもいる、有機生物的な見た目の頭をしているんだが。

 そのせいか、どうも見られている気がする。

 場違いなのは俺だって実感しているが、招待状を送ってきた奴は何を考えていたんだ。


 それはまぁ置いておいてせっかく招待されたパーティだ、楽しむか。

「やぁどうも」

 頭が透明なガラス玉な奴と首から上がどの角度から見ても四角い奴に話しかけてみた。

「ん、ああ君か。目立つ頭をしている」「なぜ君のところに招待状が来たんだろうね?」「知らん、手違いだろう」「まさか、そんなことは無いだろう。僕はここの運営とは古い友人だがそういうミスをするような奴じゃないよ」「実はそれはマスクで下に別の頭を隠してるんじゃないか?」「そうじゃないことは俺が一番よく知ってるよ」「またまたぁ」「もしかしたら一人ぐらいは普通の頭の奴が混じってた方がいいって思ったのかもな」「じゃあなんで俺よ」「それは運が良かったとしか」「悪かったのかもよ?」「いまのところどっちでもない感じだが……」「まぁ、楽しめればいいだろう」「そうだよ」「まぁ、珍しい経験ができたという点ではよかったかもしれないな」「確かに、僕らもここに来るたびに初めて見る頭が多くて驚く」「ところであんたらはどうやって飯を食うんだ?」「僕は物は食べないよ、頭を磨くことで君たちで言う腹が満たされる感覚というものを得ている」「僕は普通にこう」「うぉ、どこから入ってるんだ……?」「僕は見た目だけだから、実体は君と変わらないと思うよ」「はぁん、いろいろいるんだなぁ……」「そういえば君、さっきから何も食べてないじゃないか。おなかが空くのだろう?」「そうすぐに空くもんじゃないが、そうだな。結構美味そうなもんもあるし」

 と1つ料理をつまんだら話していた二人の顔色が変わった。

 いや顔色なんて見た目ではわからん頭をしているが雰囲気でわかる。

「なるほど、君はここに招待されるにふさわしい頭をしているじゃないか」

「そんなの初めて見たよぉ」

「なんだ、こんなん普通だろ? 頭に口がくっついてるぐらいさ」

「ああ、頭部に口があるのは普通だよ」

「でも、そんな風に頭全体が口になってる人はそういないんじゃないかなぁ」

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