第691話:ゲマニア・ジャニー~放置肉体~
街で立ったまま寝ている……?みたいな人を見かけた。
いや、目を開けているし、何か変な気がする。
立ったまま目を開けて寝る趣味がある人なのかもしれないが……。
なんとなく気になってしばらく観察していたら動き出した、うたた寝から覚醒したみたいな動きで、実際そうなのかもしれないけどどうしても気になって話しかけてしまった。
「やぁ、さっきは立ったまま寝てたみたいだったけど、何をしていたんだい?」
「ん、ああ、そういえばずっと見てたな……。そうか、僕が気になってたのか。そうだな、放置するなら場所は選ばないといけないよな……」
……どうにも言っていることがわからない。
いや確かに変な奴が変なことをしていて、なにをやっていたのかを本人に聞いてわかるとも思えない。
「見られていることが分かってたみたいに言うじゃないか」
「そりゃあ見てたからね、ああ、そうか。僕が何をしていたのかだっけ、そうだね、僕は体を置いてうろついていたんだ」
「はぁ?」
「そうだな、わかりやすい言葉を選ぶなら……、知ってるかな、幽体離脱って言うんだけど」
「幽体離脱……、なんとなくわかるぞ」
確か肉体から霊魂が離れて動くことだっけ?
「なら話は早い、僕はその幽体離脱ができるのさ。そして体をここに置きっぱなしにして立ってわけ」
「まぁ、話はわかった。なんてことのない話だ」
こいつ、不用心だな……
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